相続した実家を処分したり、片付けたりすることを「実家じまい」と言うようになりました。
新しい言葉ができてしまうほど多くの人が、その大変さを経験しているということです。
実家じまいにはいくつものステップがあります。中でも「片付け」は最も大変な作業の一つです。
自分の部屋を整理整頓するだけでも骨が折れます。年末の大掃除ともなれば一大イベントです。
自宅の整理ですら大変なのに、実家じまいで片付けるのは親の荷物。残すべきか捨てるべきか。あちらに動かしたりこちらに動かしたりで全くはかどらない。
片付けのコツを調べると、必ずと言ってよいほど「不要なものから処分する」と書かれています。
しかし、本記事ではそんな定説を真っ向から否定する「残したいものから手を付ける」宝島メソッドをご紹介します。
本記事には広告リンクが含まれています。ただし、記事本文は広告案件としてではなく、筆者の経験と知見をもとに中立な立場で執筆するように心がけています。
片付けは捨てないものから手を付ける。14ステップの宝島メソッド
片付けの極意、宝島メソッドの流れを段階を追って解説します。
トランクルームとは貸倉庫のことです。片付けたい実家の外に空っぽのスペースを確保するのが初めのステップです。このスペースは実家から運び出した大切なものを一時的に収納するために使用します。
広大な実家で敷地内に空っぽの蔵があればそれでもOKです。一般にはそのようなスペースがありません。その場合は、近くのトランクルームを確保してください。
ここでのポイントは、片付けたい空間の外側にスペースを確保することです。片付けたい実家の一部屋を代用しても効果がありません。
トランクルームを利用する場合は、距離が近いこと(クルマで10分くらいまでが理想)、すぐ前までクルマをつけられる施設を条件に探してください。広さは予算が許す限り大きめのスペースを選びましょう。クルマを停めやすい屋外設置型のコンテナタイプで、できれば1階スペースがベストです。
ステップ1で外部のトランクルームが確保できたら、実家の片付けはじめます。宝島メソッドの神髄である「一番大切なものから手を付ける」を実践します。
実家の中を見渡して、「これだけは捨てられない」「思い出が詰まっていて捨てられない」、もっとポジティブに「これは残したい」と思えるもの(お宝)を探し出します。
まずは実家の中を歩き回って、目につくものから始めればOK。余裕があれば収納を開けてみたり引き出しの中を覗いてもも大丈夫です。
実家を片付けなきゃという重たい悲壮感はいったん脇に置いて、お宝さがしをするような気持ちで取り組んでくむのがコツです。
片付けを始めると、いろいろな思い出がよみがえってきて、どれもこれも捨てるに忍びなくなり、全く手が進まない。掘り出したアルバムをめくりだして時間がたってしまった。そんなことが起こりがちですが、宝島メソッドでは全部OK、ウェルカムです。よみがえった記憶は大切な思い出。このあとの片付けを進めるための大切な糧となります。無形の宝物もどんどん掘り出しましょう。
むしろ、このステップ2で、有形無形のお宝を全部掘り出すつもりで、時間をかけて気が済むまで思い出に浸ってください。
ステップ2でお宝を探しが終わったら、ステップ3としてお宝の運び出しを始めます。運び出す先は、ステップ1で準備したトランクルームです。
ステップ3のポイントは自分にとって最も価値のあるお宝から順番に運び出すことです。怪盗ルパンにでもなった気分で、この中から一つだけ運び出すとしたらどれか?を考えながら順番に運び出します。
大きくて目立つお宝の運び出しがひととおり終わったら、ステップ3は終了です。
ステップ4からは特定の収納の中など狭い領域で集中的にお宝探しを行います。そのための作業場所とするために、一部屋(4畳半)ほどの広さのスペースを実家のどこかに確保します。
エリアを決めたら、そのエリアからは全てのものを移動させて空き地を作ってください。
ステップ4では、収納、棚、タンス、靴箱など、ひとつの場所にターゲットを定めて、ステップ4で確保した空き地に、中のすべてのモノを床に並べます。
ステップ5で床に並べたものを一つずつ確認し、持ち出したいお宝を探します。
ここでのポイントは「どうしても残したいお宝」をそれ以外のモノから選り分けることです。
ステップ6で選り分けた「残したいお宝」をトランクルームに運びます。
少量であればまとめてトランクルームに運んでもかまいませんが、トランクルームに運ぶクルマ(家屋の外)までは、毎回運び出してしまうことをお勧めします。
残したいお宝を取り出したら残りのモノは元あった場所にざっくりと戻します。
丁寧に並べなおさなくてOK。上手く収納できなければ、段ボールに放り込んで元あった場所のそばに置いておきましょう。
1回の作業時間を30分程度にしてトランクルームに移動することで適度にリフレッシュすることも、作業を続けるコツの一つです。
ポモドーロ・テクニックを使って25分間集中して一か所作業したら、5分で家の外に運び出して気分転換すると集中力が続きます。
トランクルームに格納し終わったら、改めてお宝全体を眺めてみます。
- 物量はどのくらいか?
- 想像したより多い?
- 思ったほどではない?
- まだスペースに余裕がある?
- もう入りきらないほど詰まっている?
- お宝はまだ輝いているか?
- 実家から運び出してみると、印象が変わります。
- 宝の山にみえている?
- どんなふうに活用したい?
- 想像力を膨らまして夢を描いてみて
一通り確認し終えたら、トランクルームの扉を閉めて、実家に戻りましょう。
しっかりと鍵を掛けておくことをお忘れなく。
実家に戻ったら片付けの続きを開始します。ステップ11では、45L以上の大きなポリ袋を用意して残ったモノをどんどん袋詰めしていきます。
ステップ10までで残したいお宝は全て運び出してしまいました。実家に残っているのは二軍・三軍のモノたちです。「迷ったら捨てる」と宣言してポンポン捨てていきましょう。
迷うことができないほどのお宝が発掘されることがあります。その時は、作業を中断して、トランクルームに運び出します。
「後でまとめて持っていこう」はNGです。効率が悪いと思っても、その都度、作業を停めてトランクルームに持っていきます。これはルールです。
トランクルームにはまだ入るスペースがありますか? 入りそうなら追加で収納します。 もしトランクルームがあふれてしまったら、何を残すかよく考えてお宝を入れ替えます。
ポリ袋の山を廃棄したら、空っぽになった実家をじっくりと時間をかけて味わってください。
実家は、親があなたを子供から成人になるまで育ててくれた場所であり、たくさんの思い出が詰まった空間です。そこに置かれていた家具、遊びまわった出来事、叱られた経験、嬉しそうにしてくれた親の姿。いろいろな記憶がよみがえってくることでしょう。残された柱には「背比べ」をした柱の傷が残っているかもしれません。ひょっとしたらあなた自身の落書きや壊した部分が残っていることも。
一方で家財が全てなくなって空間だけになった実家を時間をかけてながめてると、その一つの時代の流れが終わったこと、そして、その生命の流れは、場所は変われどあなたの自宅に受け継がれていることが実感として感じられるようになります。
家財がなくなってもその思い出は消えるわけではなく、あなたの記憶の中に生き続けています。同じように実家の建物がなくなったとしても、その空間での思い出はあなたの記憶としてしっかりと残り続けます。
モノより思い出。そんなことが実感できるようになったら、実家じまいの片付けは終了したも同然です。
実家の家屋が片付いたら、もう一度トランクルームのお宝と向き合いましょう。もう一度トランクルームの鍵を開けるときです。
実家という空間から切り離された個々のモノとして再度じっくりと観察します。
- どのように活用するか
- どこに置くか
- 誰に使ってもらうか
- このままトランクルームに仕舞ったまま持ちづづけるか
- 想い出をしっかりと記憶に刻んで感謝して手放すか
何を選ぶかはあなたの気持ち次第です。実質的にに実家じまいは完了しています。あなたの荷物としてじっくりと答えを出してください。
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片付けの「宝島メソッド」のポイントを解説
基本の14ステップは前章で解説しました。ここから先は、各ステップのポイントや背景を詳しく述べていきたいと思います。少しずつ加筆してく予定ですお楽しみに。