都会では家の中で虫を見かける機会は減りました。不潔にしているとゴキブリやハエが寄ってくることはあっても、それ以外の特定の虫を頻繁に見かけることは少ないでしょう。
このため、虫が嫌いで、部屋の中でみかけようならキャー、ギャーと大騒ぎする方もおられるかもしれません。
そんな虫が大嫌いな方は、漆喰の家に住む前に知っておいた方が良いことがあります。
蜘蛛が好む漆喰
壁を漆喰で仕上げた建物を見ると、壁と天井の境目などの隅っこに蜘蛛が巣を張っていることがよくあります。
蜘蛛の巣は至る所で見かけるものです。なにも漆喰だから蜘蛛が巣を張るわけではありません。ただ、漆喰以外で仕上げた家よりも遭遇率が高いことは覚えておく必要があります。
これは、偶然ではなく、蜘蛛が漆喰を好むことが原因の一つです。このため、いくら追い払ってもゼロにすることは難しく、イヤという方にとっては一生の悩みになる可能性があります。
蜘蛛が漆喰を好む理由
蜘蛛はアルカリ性の環境を好むと言われています。漆喰は炭酸カルシウムでできており、その表面はまさにアルカリ性の環境にあります。人間にとっても居心地の良い空間を作る漆喰ですが、蜘蛛にとっても快適な環境というわけです。
定住する蜘蛛
蜘蛛は一度巣を張ったらなかなか引っ越ししません。これは同じ場所に繰り返し巣を張る習性があるためです。このため、いくら追い払っても、少したつと元通りに巣を張られているということになります。
蜘蛛と共生する
ほとんどの蜘蛛は無害
多くの蜘蛛は人間に害を与えません。
一部にいわゆる毒蜘蛛と言われる種類の蜘蛛がいます。一時期話題となったセアカコケグモやタランチュラのように近寄らない方が良い危険な蜘蛛も存在しますが、一般に家の中で見かける種類のほとんどは無害です。
むしろ蜘蛛は益虫
蜘蛛はいわゆる害虫を捕食していますので、むしろ益虫と行っても良い存在です。
肉食の蜘蛛は小蝿のような飛ぶものも捕食してくれます。また、大型の蜘蛛の中にはゴキブリのような昆虫を捉えて食べてしまうものもいます。
このため、田畑にいても根絶しようと積極的に駆する対象とはされてきませんでした。
蜘蛛退治
それでも嫌われる蜘蛛
ほぼ無害な蜘蛛ですが、ちょっと毒々しいみてくれや、派手に蜘蛛の巣が張っている空間のみすぼらしい感じから嫌われることが多い虫(足が8本あるので昆虫ではありません)です。できれば大発生は避けたいものです。
殺虫剤で蜘蛛退治
蜘蛛に効くスプレー式の殺虫剤も市販されています。
蜘蛛用の殺虫スプレーの中にはシリコンが含まれているものがあります。このタイプの製品は含まれているシリコンの働きで、吹きかけた部分の表面をツルツルにすることで、蜘蛛が糸をかけにくくする働きがあります。
蜘蛛は同じ場所に繰り返し巣を張る習性があります。このため、いたちごっこになるような場合にはシリコン入りのスプレーで巣作りを妨害することも可能です。
化学薬品は使いたくない
虫退治といえど、できれば住環境に化学薬品は持ち込みたくないものです。特に家の壁に漆喰を採用される方の中には、化学物質に過敏な方やナチュラル嗜好の強い方も多いのではないでしょうか。
この場合は、ゆるく共生するしかありません。
ほうきと掃除機
蜘蛛退治(蜘蛛の巣対策)の最強コンビは、やはりほうきと掃除機です。
山で見かけるような足の長い大型の蜘蛛や、大型の立派な蜘蛛の巣が部屋の中にできることは、普通に生活している空間では稀でしょう。むしろ、埃の塊と見間違うような小さな巣が壁の隅っこにできているようなケースが多いのではないでしょうか。
これらの蜘蛛の巣は、お掃除のついで、ときどきほうきでササッと掃いてやると取れます。高いところにできているなら、掃除機に隙間ノズルをつけて、シュッと吸い取ればあっという間に無くなります。
化学物質を部屋の中にぶちまけなくても良いこの方法が、漆喰オーナーとしては一番かと思います。
子供たちへの影響(おまけ)
漆喰のデメリットとして蜘蛛について語ってきましたが、虫という小さな命が身近に存在することが、決して悪いだけではないと思うことについて最後に追記しておきたいと思います。
人はなぜゴキブリを見るとギャー!となるのか
子供たちは虫を見てもギャー!とはなりません。それは蜘蛛に対してもゴキブリに対しても同じです。
ところが、ゴキブリを見ると恐れおののき奇声をあげる人が少なからずいます。これは、後転的な学習によるものだそうです。子供にとっては自分を守ってくれるヒーローである親がゴキブリを見ると恐れおののきギャーギャー騒ぎ立てる。その姿を見た子供たちは、ゴキブリという生き物はさぞかし危険なものに違いないと学習します。その結果、子供たちも見事に虫嫌いになるというわけです。
私の飼っている蜘蛛ちゃん
虫かごに入れて飼育しているわけではありません。部屋の中で見つけた蜘蛛に対して、私が飼っているのと言った5歳の娘の言葉です。(ちなみに親の私は蜘蛛好きではありません。むしろ嫌いで触ることもできません)
彼女にとって家の中で見つけた蜘蛛は、一緒に住んでいる、自分に危害を加えない小さな生きもの。むしろ可愛いと思っているようです。
大泣きした長男
蜘蛛が嫌いで泣いたのではありません。
ある日、ダイニングの椅子の下に虫を発見しました。「退治して」とティッシュを渡したのですが、いっこうに殺そうとしません。ティッシュの上に乗るように誘導しながらじっと待っているのです。
忙しい朝の時間。早くご飯を食べないと遅刻するじゃないかとイライラしてきた私は、自分でティッシュを2枚とり、クルクルと丸めてて、息子の前にいた虫をつまみました。ブチッと音を立てて指先で押し潰し、ゴミ箱にポイっと捨てました。
その瞬間、息子の顔が歪み、大泣きして泣き止まなくなりました。私とは口もきいてくれません。
母親がなだめすかして訳を尋ねると・・・
「虫にも命があるの。それなのにお父さんはゴミ箱に捨てた。外に逃してやりたかったのに。」
そう言ってゴミ箱の前に立ち、蓋を開けて中を覗き込みながら大粒の涙をこぼす息子に私はかける言葉が見つかりませんでした。
生き物が身近にいて共生することの意味
どれだけ近代化が進んでも、私たちは自然の一部であり、自然環境と共生して生きています。しかし、いつしか自然環境に対して鎧を着て隔絶し、狭い意味での快適性の中での暮らしを選んでしまっていました。家の中にはゴキブリどころか虫一匹入っていてはならず、見つけようものなら殺虫剤で駆除、二度と寄せ付けないように防虫剤を振りまき、蚊取りマットを焚く。菌もウイルスも許せずアルコールや次亜塩素酸で家中除菌しまくり、手指は手荒れするほど消毒する。挙句に環境だけでなく食べ物にも防腐剤や防カビ剤をふんだんに使って、もはや化学物質まみれの生活になってしまっているように思います。
漆喰の家を選んだ時、家の中から化学物質とプラスチックを極力排除しました。生活を制限するほど神経質に対応したわけではありませんが、ほぼ木材と石と金属だけで作られた我が家は一般的な住宅に比べるとかなりクリーンな環境にできたと思っています。
合成化学物質を減らそうとする中で、殺虫剤のような薬剤も極力排除してきました。このため、一部に今回の蜘蛛のようなお客様も一緒に共生することになっています。冷暖房も最低限にしか使わないので、夏は暑さを冬は寒さを敢えて楽しんでいます。
スマートにカッコよく生きていける・・・それが最後まで貫けるだけの財力と能力があればそれもいい。でもいつも順風満帆でいられるわけではない。一度沈んで、そこからもう一度復活しなければならなくなった時、綺麗な世界の中だけにいられるとは限らない。泥臭い中で、這いあがろうとするとき、自分一人では生きられず、さまざまな人やものに支えられ助けられて前に進んでいく必要がある。
小さく生きている一匹の虫を見て、そこに生命を感じられる感性を心のどこかにもったまま成長してくれれば、強く逞しく生きていくことができる。そう信じたい。
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