真空パック機「専用袋不要」の誤解と推奨袋の紹介

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この記事では、「専用袋不要」の機種はどんな袋でもOKと言っているわけではないこと、「専用袋不要」の機種にも「推奨袋」が存在することを解説します。

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目次

「専用袋不要」=市販されている「汎用のナイロンポリ袋」を使用してください

「専用袋不要」と謳われている真空パック機を上手に利用するには、市販されている「ナイロンポリ」というタイプの袋を購入する必要があります。この際、メーカー純正の袋を購入しなければならないわけではなく、汎用品を利用することができるので経済的ですよ、というのが「専用袋不要」の意味です。

ナイロンポリ袋と普通のポリ袋の違い

一般的にキッチン用品などとして購入することができるポリ袋はポリエチレンという材質で作られた袋です。これに対してナイロンポリ袋はナイロンとポリエチレンの複合材料で作られている袋です。袋の外側がナイロンでできていて内側はポリエチレンでできています。ナイロンの強さと熱溶着しやすいポリエチレンの良いとこどりをした袋のため、真空パックを作るのに適しています。

ナイロンポリ袋の特徴

ナイロンポリ袋は外側にナイロンが使われています。ナイロンは空気を通しにくく強度のある材料です。

真空パックは袋の中の空気を吸い出して使うため、袋が内容物に強く押し付けられて張り付いたような状態で使用されます。この時、内容物に尖ったような部分があったり、角になった部分があったりすると、その部分に小さな穴が開いてしまうことがあります。するとその穴から空気が侵入し真空状態を保てなくなってしまいます。ナイロンは強度のある材料ですのでこのようなトラブルを起こしにくい特徴があります。

一方で袋の内側に使用されているポリエチレンはナイロンより熱に溶けやすい特徴があります。

真空パック機の多くは、袋の中の空気を抜いた後、ヒートシールと言って袋を熱で圧着することで袋を密封します。このときナイロン袋は熱に強いためうまく溶着することができませんが、ナイロンポリ袋は内側に使われているポリエチレンが熱で溶けて綺麗に溶着することができます。

このような特徴から、ナイロンポリ袋は真空パック機で使用する袋としてとても適しています

代表的な汎用ナイロンポリ袋

一般的に購入できる汎用ナイロンポリ袋としては、クリロン化成の「疆美人(きょうびじん)」と福助の「ナイロンポリ」がメジャーです。特にネットで購入できる製品としては、これら以外のブランドを探すのが難しいほどの寡占状態です。いずれも品質的には問題なく、真空パックに利用するのであれば70μm程度以上の厚みの製品を用途と好みで選択すればOKです。

クリロン化成の疆美人の特徴

疆美人の一番の特徴は透明性です。福助のナイロンポリが少し白く濁った色をしているのに対して疆美人はほとんど曇りのない透明です。このため、内容物を綺麗に見せることができます。また、福助のナイロンポリと比べると柔らかくしなやかなため、内容物の形に沿ってピッタリとパックすることができます。

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福助のナイロンポリの特徴

福助のナイロンポリの一番の特徴はピンホール耐性の強さです。疆美人よりも少し硬めであるぶん強度が高く、穴が開きにくいという利点があります。真空パックは穴が開いてしまうと台無しになるため、袋の実用性を考えた場合、このピンホール耐性の高さは最大の強みです。

ナイロンポリ袋には2種類ある

疆美人と福助のナイロンポリ、機能性の面で比較した場合、いずれのブランドを選んだ場合もナイロンポリ袋には2つのタイプがあることを理解しておく必要があります。「ハイバリア・タイプ」と「通常タイプ」です。

ハイバリア・タイプ

ハイバリア・タイプは、ガスバリア性能の高い特徴を持たせた袋です。ガスバリア性能というのは、ガスつまり空気を通さない性能のことで、特に酸素を通しにくい性能のことを指しています。

より長い期間の保存を目的として、脱酸素剤を利用したい場合には、ガスバリア性能の高いハイバリア・タイプの製品を選択することが重要です。

通常タイプであっても、袋に使われているナイロンは空気を通しにくい素材のため、真空密封の状態を長期間保持することが可能です。しかし、空気を通しにくいとは言っても袋を通過して内部に酸素分子が入り込んでしまうことは避けられません。

ハイバリア・タイプの袋は、さらに加工を施すことによって、酸素分子の透過を極限まで抑えることのできる製品です。適切な量の脱酸素剤を併用することで、真空パック内部にわずかに残った酸素も取り除き、無酸素状態を長期間保持することができ、非常に長期に渡ってパックした内容物をカビや酸化から守ることができます。

ガスバリア性能は使用されている材料とその層の厚みで決まります。仕様をしっかりと確認して選択したい方は福助のカタログを確認されることをお勧めします。彊美人の場合は80μm一択になりますので、簡単に選択したい方は「ハイバリア彊美人」を選択するとよいでしょう。

通常タイプ

脱酸素材を併用せず、真空パックで冷蔵庫での保存期間を伸ばしたり、冷凍焼けを防止するために冷凍する前に真空パックにしたり、マリネなどを作って低温調理したりするために利用したい場合は、通常タイプを利用するのが経済的です。高価なハイバリア製品を選択する必要はありません。

用途に応じて上手に製品を使い分けましょう。

ナイロンポリ袋の厚み

真空パックで利用するナイロンポリ袋は、70μm~90μm程度の製品を利用するのが一般的です。
しなやかさを求めるなら薄いものを、強度を求めるなら厚みのあるタイプを選択します。

クリロン化成の彊美人の場合

クリロン化成の彊美人の場合は3種類の厚みが販売されています。

  • 70μm
    • 手軽な厚み
    • 一般的な用途に適している
  • 80μm
    • 実績の厚み
    • 70μmよりも広範囲の用途に適している
  • 90μm
    • 安心の厚み
    • 特に強度が必要な用途に適している

酸素を通しにくいハイバリアタイプの製品は80μmで提供されています。

内容物が軽量の場合や柔らかいお菓子のようなものの場合は70μmを選択するとゴワゴワしにくく取り扱いやすいです。他方、冷凍する場合や干飯のような尖った部分があるような内容物をパックする場合は破れにくさの点で90μmを選択するのが適しています。

福助のナイロンポリの場合

福助の場合はタイプにより70μmもしくは75μmが販売されています。

  • 70μm
    • TLタイプ、Dタイプ
  • 75μm
    • 新Lタイプ、Gタイプ、Hタイプ、Fタイプ、Rタイプ

タイプにより材料構成と各層の厚みに特徴があります。全体の厚みだけでなく、素材の異なる各層の厚みを考慮しながらより適切なものを選択したいばあいは福助のカタログから探してみるのが良いでしょう。

ナイロンポリ袋の大きさと形

形は基本的に長方形ですが縦長のもの横長のものとその形状(縦横比)は様々です。またサイズも一センチ刻みで多くのサイズが販売されています。

パックしたいものの大きさ、お手持ちの真空パック機が対応できるシール幅(熱溶着するヒーターの幅)を参考に使いやすいサイズを選択しましょう。

パックするものも様々だしそんなに買い揃えられないなぁ・・・
そんな時は、大きめの縦長の袋を購入しておいて、袋をハサミで上下に切りわけて使いましょう。
筒状になった上側(口側)のパーツは、上下の口を自分でヒートシールすれば袋として利用できます。

専用袋とはロール状に巻かれた袋やエンボス加工された袋のこと

真空パック機でいう「専用袋」というのは何を指すのか? このことについて最後に触れておきます。

ロール状に巻かれた袋

筒状のナイロンポリをラップのように筒状に巻いた袋です。主に家庭用真空パック機用に専用カートリッジとして販売されています。

汎用のナイロンポリ袋は大きさが決まっているため、家庭用として様々な大きさの内容物を真空パックしようとすると、すこし大きさが足りなかったり、大きすぎたりして、使いにくいことがあります。

このため、使うたびに筒状の袋を必要な大きさに切り離して、筒の上下をシールさすることで袋の無駄が出ないようにしている真空パック機があります。

この場合、機器のサイズにより、ヒートシールできる幅や格納できるロールの太さが決まってしまうため、メーカーから専用品(純正品)が提供されています。これを専用袋と呼んでいます。

「専用袋不要」=「純正の袋を買う必要がない」という意味です。

エンボス加工された袋

内側にエンボス加工と呼ばれる細かい突起(でこぼこ)をつけたタイプの専用袋です。

袋の内側にエンボスがあることにより、空気が抜けて袋同士がピッタリとはりついた状態になってもエンボスの隙間をとおって内部の空気が移動することができるため、容易に最後まで空気を吸引することができます。

このタイプの専用袋は主に家庭用として販売されている吸引溝タイプの真空パック機で使用します。吸引溝タイプの真空パック機では、袋の口全体を覆えるサイズの溝で袋を挟み込んで、その溝から空気を吸いだします。

エンボス加工された袋は、強く圧迫しても空気が漏れてしまうため、ノズル式と呼ばれる、ストロー上のノズルを差し込んで空気を吸引するタイプの真空パック機では利用することができません。「専用袋不要」と書かれたタイプの真空パック機の多くはノズル式です。

「専用袋不要」=「特殊なエンボス加工をしていない袋が利用できます」という意味です。

まとめ

「専用袋不要」と書かれた真空パック機を上手に活用するには、市販の汎用ナイロンポリ袋を購入することが必要です。70μm程度以上の厚みの製品を選択すれば基本的には問題ありませんが、ブランドの特徴を理解して、目的にあったナイロンポリ袋を選択しましょう。また、長期保存を目的として脱酸素剤を利用する場合はハイバリアタイプの袋を選択しましょう。

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この記事を書いた人

ガイドのひろです。私は、新築で購入した高層階のタワーマンションを2年で売却。売却益を加えて購入したマンションを4年で売却したのち、土地を購入して漆喰仕立ての3階建て注文住宅を建てました。
一生に三度の自宅購入の経験をもとに住まいと暮らしに関する情報をお届けします。

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