梅雨が近づくと気になるのが押し入れやクローゼットのカビ。大切な洋服にカビがついたとなれば泣くに泣けない。またいったんカビが発生するとどんどん広がってしまうのが厄介だ。
筆者は「カビが発生しにくい住環境を整えること」は「快適な住まいを実現すること」と同義だと信じている。
本記事では、カビが発生する一般的な理由と対策だけでなく、根本的に対策する方法についても紹介したい。
梅雨が訪れる前に対策をおこない、いつ来客があっても笑顔で迎えられるご自宅を目指してほしい。
クローゼットにカビが発生する原因
一般的な知識として、クローゼットにカビが発生してしまう原因について整理しよう。
至る所に存在するカビ
地球を支配しているのは人類ではなく実はカビ。埃が1gあるとその中には10万~100万個ものカビが含まれていると言われている。これが空気中を浮遊し着地したところで繁殖する。防カビ剤などを使用しても完全にゼロにすることは不可能だ。
カビが繁殖する条件
一般的にカビが発生するのは水回り。頻繁にお湯や水を使いづつけるお風呂やキッチンなどがカビの繁殖する代表的な場所だ。カビが繁殖しやすい条件を以下にまとめてみた。
- 相対湿度60%が以上。特に80%以上になると危険
- 20℃~30℃の暖かい環境
- 栄養源(タンパク質、炭水化物、アミノ酸、脂肪など)がある
- 酸素がある
クローゼット内の環境
衣服や鞄などたくさんのものが狭い空間に詰め込まれており、扉が常時閉められているクローゼットもカビが発生しやすい環境が整っている。
- 閉め切られている時間が長く湿気がこもりがちになる
- 汗や雨などで湿った生乾きの衣服をそのまま仕舞うと湿度が急上昇してなかなか下がらない
- 外壁に面した北側のクローゼットでは壁の温度が下がりクローゼット内の壁が結露する場合がある
- 衣服に付着した汗や皮脂、埃がカビの栄養源となる
クローゼットのカビ防止策
「湿度(水分)」「温度」「栄養」「酸素」を遮断すればカビの繁殖は抑えることができる。
食品であれば、除湿剤や脱酸素剤を封入して密閉する、冷蔵庫に入れる、真空パックするといった対策がある。
クローゼットの場合、冷蔵や真空パックは困難なため、それ以外の対策が必要になる。一般的な対策を如何に列挙する。
- 風通しをよくして湿気を飛ばす
- 収納物の間に隙間をつくる
- すのこを敷く
- 湿ったものを収納しない
- 生乾きの洗濯物は完全に乾かしてから収納する
- クリーニング後のビニールは外して完全に乾燥させてから不織布カバーなどを掛けて収納する
- 強制的に除湿する
- 除湿剤を置く
- 除湿機を導入する
- クローゼットの内壁に漆喰を塗る
- 強アルカリ性の漆喰はカビの成長を妨げる効果がある
- 定期的に掃除して埃を少なくする
- 着用した衣類はしっかりと洗濯してから収納する
- 汗や皮脂汚れを落としてカビに餌を与えない
カビ防止策の本質
いくつかの観点が存在するが、本質的には「換気と風通しの良さ」が対策である。
風通しを良くすることにより、たまった湿気を飛ばすことが可能となり、カビは発生しにくくなる。空気が動く余裕がなければ、除湿剤や除湿機の効果も得られにくい。
ぎゅうぎゅうに詰まったクローゼットがカビ発生の元
クローゼットのカビ対策として最も簡単で効果的な風通し。それを妨げる最大の原因はそもそも詰め込みすぎであることがほとんどだ。
クローゼットの中身を全て取り出して断捨離にチャレンジしてほしい。
隙間を作り空気が動くクローゼットでカビ予防
断捨離が一段落したら残したいものをクローゼットに戻すが、その際、以下のことに気を付けてクローゼットを整えよう。
- 段ボールはできるだけ使わない
- 紙でできた段ボールはそれ自体が湿気を吸ってしまう
- 床に直接モノを置かない
- すのこなどを利用して床と荷物の間に隙間をつくる
- 壁と荷物の間に隙間をつくる
- 車輪のついた台車をつかって出し入れしやすくできるとベター
- ハンガーポールにかける洋服は7割程度の量にする
- 出し入れのしやすさや洋服のしわ防止にも効果的