涼しい家、漆喰の家

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漆喰壁の三階建てを建築して住み始めて3年になります。
この記事では、漆喰の家に実際に住んでみて実感したことを共有したいと思います。

テーマは「漆喰の家は涼しい住まい」です。

猛暑の2023年

この原稿を書いている2023年は、猛暑、いや酷暑と言えるほど暑い夏でした。
連日の30℃を超えに加えて40℃に迫る日もありました。
お彼岸を過ぎてようやく和らいだものの、30℃越えの暑さは10月に入っても続き、10月半ばの雨でようやく20℃台なかばまで涼しくなってきました。

6畳用エアコン1機+扇風機1台、電気代約7,000円

熱中症で倒れて救急車で搬送される方も出る中でしたが、我が家では寝苦しい夜を除いてエアコンなし、扇風機の風だけで日中を過ごしています。

1階と2階にはエアコンは設置しておらず、寝室にしている3階の部屋に6畳用のエアコンが1機あるだけです。

夜、子供たちが寝始める前にエアコンの電源を入れて明け方まで使いますが、日中はエアコンを使わず窓を開けて扇風機で涼をとっています。

おかげさまで、延べ床面積100平米弱の小さな家ではありますが、今年8月の電気代は7,000円程度です。

太陽電池パネルの訪問営業が何度か我が家を訪れましたが、残念ながら電気代が少な過ぎて導入価値を見出せなかったほどでした。

気温が低いわけではない

もちろん、「涼しい家」と言っても、エアコンの効いた部屋のような「涼しさ」があるわけではありません。
室内温度は、2階に設置の温度計で32℃。一夏を通じてほぼ一定でした。

「なんや、むちゃくちゃ暑いやんけ!」という声が聞こえてきました(笑)。

ただ、この暑さが、「我慢できない、ムッとした蒸し暑さ」ではなく「木陰の涼しさ」であることがポイントなのです。同じ32℃でも。

木陰のような涼しさ

例えて言えば、漆喰作りの我が家の涼しさは「木陰の涼しさ」です。

太陽がジリジリと照りつける8月の空。
直射日光を避けて木陰で休んだ時。
汗で湿った体が、すーっと吹いた風に冷やされて感じる心地よさ。

そんな涼しさです。

実際、茹だるような暑さの中を帰宅して玄関に入ると、
感じるのは、ひんやりとした、洞窟のような涼しさです。
エアコン付けっぱなしで外出してしまったかな・・・
そんな錯覚をしてしまうような感覚です。

これは、住んでみて初めてわかったことです。

真夏の帰宅時、むっとしない漆喰の家

玄関に入ると洞窟に入ったような涼しさと書きました。

日陰にある家だからではありません。我が家は南東の角に立地しており、そのうえ東側の住宅からは50m近く離れています。

そのため、日の出から夕方まで陽が当たり続けます。

それでも家の中が熱くならないのは、外壁に漆喰を使っている効果だと思っています。

最近の木造建築の家屋は、ほどんどの場合、サイディングボードというコンクリートの焼き物のような材質でできた板が貼られています。

サイディングボードは、例え色が白くても、暑い陽の光を浴びるとかなりの高温になります。ところが、漆喰を塗った外壁は表面温度が低く保たれています

夏の晴れた日に、家の外壁に触れてみてください。直射日光を浴びた外壁はおそらく50℃を超える温度になっており、じっと触っていることができないと思います。しかし、漆喰壁の場合、同じ条件でも40℃にもならず、どちらかというとひんやりとさえ感じられます。これは、漆喰が赤外線のほとんどを反射してしまっていることを示しています。

いくら高性能な断熱材が壁内に使われていたとしても、外壁が50℃を超えている状態と、37℃程度で抑えられている状況では、室内を温めるパワーにはかなりの差が出ます。また、外壁に蓄えられた熱は太陽が沈んでも発熱を続けるので、夜になっても換気をしても室温が下がらない原因になります。一方、漆喰壁の家は建物の構造物が熱くなっていないので、陽が沈むとすぐに冷め始めます。これが木陰のような涼しさをもたらしているメカニズムです。

風が吹き抜ける家

我が家は、お世辞にも「高機密、高断熱」の高性能住宅ではありません。
一条工務店やWelnestHomeのような性能はありません。

もちろん、一定の断熱性能は確保していますが、HeatもZEHもなんのそのな住宅です。
冬、電灯のスイッチに耳を近づけると、しっかりと呼吸しているのがわかります(笑)

ですが、我が家が選んだのは、しっかり窓を閉めて全館冷暖房で快適に住まうスタイルではなく、
窓を開けて自然の風を取り込み、光と明るさと四季を感じられる、涼しい住まいです。

そのために、窓を大きく取り、その窓は引き違いではなく、滑り出しタイプにしました。
少しの風でもウインドキャッチ効果で部屋の中に多くの風を取り込めるように、滑り出し窓の方向にも気を配って配置しました。

そのおかげで、部屋にこもった熱気も窓を開けると一気に解消できる設計になっています。
結果的にこの作りは大正解だったと思っています。

暑さ対策にかけるコストのメリハリ

通常、暑さ対策というと、次のような話が始まります。

  • 高機密・高断熱の基本性能に加えて、全熱交換の換気システムにセントラルエアコンの導入
  • 外壁の外側に断熱材を入れる外断熱か、外壁の内側に断熱材を入れる内断熱か、といった視点
  • 断熱材は何を使うか? グラスウール? ウレタンフォーム? パルプ?
  • 窓のガラスの性能は? 断熱タイプか遮熱タイプか? ペアガラス?トリプルガラス? 冊子は樹脂にする?など

それぞれに特徴があり、性能の数値が異なり、価格が大きく異なります。

性能の良いオールインワンパッケージの住宅を選んだり、そもそも資金が潤沢にあれば贅沢仕様を選べば良いのですが、我が家は資金が限られていました。

窓ガラスと樹脂サッシには最後まで惹かれたのですが、サッシをグレードアップするための費用は軽く100万円ほど。トリプルガラスを選ぶと更に追加費用が必要になります。

悩んだ末、一箇所だけ贅沢することにしました。それは、三階の天井裏の断熱材。材質は一般的なグラスウールですが、厚みを標準の2倍敷き詰めてもらうことにしました。これによりトリプルガラスの樹脂サッシ窓を全面導入するのに比べれば数分の1のコストアップで抑えました。

建売住宅を見学する中で、現代の一般的な住宅ではやはり1階は寒く3階は暑いという話をよく耳にしていました。幼少期を無断熱の京町家で過ごした私は、夏、サウナのように熱くなる2階の印象は強烈でした。それが少しでも和らぐのならと思っての選択でした。

結果、現代の最新鋭の高性能住宅ではないものの、

  • 「漆喰外壁による、そもそも炎天下で暖まらない外壁」
  • 「暖められたガルバリウム屋根の温度を部屋に入れない屋根裏断熱」
  • 「そよ風を部屋に取り込み空気を動かす縦滑り窓の選択と開き方向の吟味」

これらのおかげで、エネルギーに頼らない暑さ対策をて人れることができました。

まとめ:風通しと内外気温の差のコントロール

室温が32℃もあるのになぜ我慢できない暑さを感じなくて済む理由は何か?

それはこれまでに述べてきたように、一つは暑さを取り込まない断熱性、もう一つは風通しです。

いやいや、私は一年中快適環境を実現できる機械で守られたコンピュータコントロールの家がいいわ、という住まいかたに疑問が湧いてきた方は、ぜひ、住まい作りのご参考にしていただけると宜しいかと存じます。


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この記事を書いた人

ガイドのひろです。私は、新築で購入した高層階のタワーマンションを2年で売却。売却益を加えて購入したマンションを4年で売却したのち、土地を購入して漆喰仕立ての3階建て注文住宅を建てました。
一生に三度の自宅購入の経験をもとに住まいと暮らしに関する情報をお届けします。

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